[QuarkXPress奮戦記 vol.17]

QuarkXPressの単位と計測の怪(1)

■収まるハズのテキストボックスなのに……

 多段組の行揃えやベタ組の文字揃えをする上で、文字数、行数がピッタリ収まるテキストボックスを作ることが大きなポイントになることは、すでにこの奮戦記の最初で紹介したところだ。
 しかし実際の作業では、ピッタリ収まるハズなのになぜか収まらないという場面に遭遇することが多い。これには経験則で、ボックスのサイズをほんのわずか、たとえば0.001mm大きくすることで対応してきたのが私の実態だった。

 先日、難波義昭さんのページ「White Room」におじゃましたら、テキストボックスのサイズを0.0001mm大きくしても収まると紹介されていた。細かいことのようだが(1万分の1だから実際に細かい)、これはかなり重要な指摘なのだ。
 というのは、0.001mmの追加では、たとえば25.001mmと小数点以下第3位まで表示されるので、ボックスサイズが非常に細かい数値になり、作業上はうっとおしいわけだ。ところが、0.0001mmの追加だと小数点第4位で五捨六入(QXは四捨五入ではない)されて、表示は25mmとなる。これは大きな違いで、ずいぶん作業が快適になる。
 また、計算単位に「Q」を使えばピッタリ収まるし数値もきっちりになる、といくつかのHPなどで指摘されている。
 経験則で作業はできているわけだが、やはり気になるのは、計算上きちんとテキストが収まるハズのボックスに、なぜ収まらない場合があるのかだ。何か法則があるはずだと思って、ミリからポイントへの換算など試算してみたりしたが、「これだ!」という説明がつくところまでは、残念ながら私の頭では行き着かなかった。
 ただそうしているなかで、収まるケースと収まらないケースがおぼろげながら見えてきた。

■ボックスの作り方で違いが出た

 下のサンプルは、おおざっぱに収まるケースと収まらないケースを示したものだ。いずれも、14Q10字がピッタリ収まるテキストボックスを作ろうとしているもので、フォントはリュウミンR-KLを使用した。もちろん、ボックスの「テキストとの間隔」は「0」である。

サンプル

 1)は、テキストボックスのサイズをあらかじめ計算して、その数値(35mm)をメジャーパレットの「W」の項に入力して作ったもの。これは収まらない。

 2)は、上記に0.0001mmプラスしたもの。ピッタリ収まっている。私がこれまで調整してきた方法の改良型だが、小数点以下第4位の数値を追加することで、メジャーパレットにはこの場合「35mm」と整数値で表示される。

 3)は、計算単位にQを使用して、メジャーパレット上で計算させてテキストボックスを作ったもの。ピッタリ収まっている。メジャーパレットの表示も「35mm」となる。

 4)は、単位はミリだが、メジャーパレット上で計算させてみた。すると、Qの場合と同じくピッタリ収まった。ボックスがミリで文字サイズがQという単位の違いが原因のひとつかとも思っていたが、そうではないようだ。

 5)は、それならと思って試したものだ。単位はQだが、1)と同じくあらかじめ計算させてボックスを作ってみたら、あらま、収まらない。どうやら、とにかくQを使えばよいというものでもなさそうだ。
 そこで、もう少しつっこんで試してみた。


<<BACKNEXT>>

][