2002年10月4日(金) 天気 : 晴れ

校正

僕が信頼する校正者は、ときどき文意と違うように校正してくれることがある。でも僕は、そういう校正が大好きだ。

初めてそういう指摘に出合ったとき、この人、わかってないのと違うか、と思った。だから当初は、その指摘を無視していた。
あるとき、ふと気がついた。
あ、この人にはこう読めたのか。ということは、他の人にも同じように読まれるかもしれない、と。
つまり、読んだその人がわかっているとかわかってないとかではなくて、そう読ませた自分の文章が至らなかったのだ。ならば、誤解をされないように書き直すべし。
そう考えられるようになるまでにずいぶん時間がかかったが、以来僕は、その校正者をとても信頼するようになった。
この前書いた本でも、何か所かそういう指摘をされた。実にありがたい。だから、ずいぶん助けられたと思っている。

けれども、自分が助かっているからといって、僕が校正する立場になったときに同じようにやっても、なかなかうまくいかない。
「ここは素直に読んだらこういうふうに読めますけど」
「いえ、それはそうではなくて、こういうことなんです」
ほとんどの場合、こういうやりとりになる。

他人の文章をとやかく言うには、僕はまだまだ修行が足りないな、と思う。