[ひとりごと(2001.1.11)]

裁判資料にハマる

 去年はとうとうこのコーナー、1回しか更新できなかった(汗)。今年は、小ネタで回数を増やそうかと……。
 実は今、仕事である裁判の資料を読んでいる。もちろん具体的に書くわけにはいかないが、民事裁判だし、読んでもさして面白くもないものと思っていたところ、ある程度様子がわかってくると、なかなかどうして、これが面白い。
 確かに、準備書面なんかは双方が自分の主張を勝手に書いているわけだし、判決はそれまでの審理の総合で、まとまりすぎていてあまり面白くはない。ところが、証人尋問の記録になると、実にドラマチック。それも、主尋問より反対尋問がより面白い。主尋問はいわば味方の弁護士だが、反対尋問は敵方だからだ。さまざまな角度から証人に質問してボロをださせようとする弁護士と、なんとかして不利な言質は取られまいとする証人の攻防が見えてきて、どんな小説を読んでいるよりもワクワクしてきてしまう。
 読みながら、自分が証言台に立った時のことを思い出す。あれは前に住んでいたマンションの家賃裁判だった。
 民事裁判の法廷は、口頭弁論といってもあらかじめ提出してある準備書面を「陳述します」と言えば、実際にそれを読まなくても陳述したこととみなされるようだ。そのため、弁論そのものは数分ですんでしまい、あとは次の法廷の日程調整となる。
 裁判長が「○日はいかがですか?」と問う。弁護士が「差し支えます」と答える。再度「では○日は?」、今度は反対側の弁護士が「差し支えます」。そんなこんなで日程が決まるまでの方が、その前の弁論よりも時間がかかったりする。やっと決まれば「はい、次の事件」と、なんだか病院の診察のような感じで次々と処理されていく。だから傍聴に行っても、何をやっているのかさっぱりわからないのが現実だ。
 が、証人尋問だけは違った。尋問が始まると、弁護士は席を離れて証人のところまで来たりしながら質問する。まさしくテレビサスペンスの法廷場面のそれだ(もちろん、テレビドラマが再現なのだが……)。僕はやっと裁判という実感がわいて、ちょっと興奮したものだった。
 で、今読んでいるのは尋問の速記録なのだが、そういえばあの時の記録を読んだ記憶がない。最初、僕が勢い込んで早口でまくしたて、「速記を取っているのでもう少しゆっくり話してください」と裁判長からたしなめられたことを覚えているから、確かに記録はあるはず。あれも読んでみたいなあ、と思う。

(記/2001.1.11)


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