[えでぃっとはうすのときど記]

ロウバイの花

「なんや、あの木、切っちまったんか!?」
 近所のおじさんに声をかけられたのは、数年前だった。田舎の実家でのことだ。
 その前年、裏庭の木がちょっとうっとおしかったので、深く考えもせず、まとめてバッサリ切ってしまったのだった。自分ではサッパリしていたのだったが……。

「あの木はロウバイいうてな、一番早うに花が咲くんや。楽しみにしてたんやで」
「はあ、どの木のことですやろ……」
 頭の中では「老梅」と理解したが、はて、梅は切っていないはず……。「これや、これや」と教えてもらった木の切り株を見ても、どんな花なのか、ピンとはこなかった。

 ネットで調べてみると、梅ではなくて「ロウバイ」という木があるという。確かに、1〜2月頃に黄色い花が咲くのだそうだ。ちっとも知らなかった。
 とはいえ切ってしまったものは仕方がないと思っていたら、切り株から新しい芽が出て、1年ほどしたら2メートルくらいにまでグイグイと伸びた。あまりに密集したので少し間引いたりもした。
 そんなことがあってから気にしてはいるものの、ロウバイの花はこれまで見たことがなかった。花が咲く時期に実家にいたことはほとんどなかったからだろう。

 そのロウバイが先日、チラホラ咲きになっていた。なるほど、ネットで見たのと同じ黄色い花だ。
 次に来る時にはもっと咲いているのか、あるいは盛りを過ぎて散っているのかわからない。なので先日京都に戻る前、写真に撮ってみた。次に実家に帰った時、満開だったりするとうれしい。

 というわけで、まだちょいとさびしいロウバイの花。

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(記:2011/02/23)



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