京のお酒エッセー

京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男

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純米大吟醸「松の翆」

2005/02/01 (火) | 山本本家(伏見・神聖)

matsu_1s.jpg 山本本家は「神聖」の銘柄で知られるが、僕などは同蔵が直営する居酒屋「鳥せい」と聞くと「ああ」と思い当たる口だ。また「源べエさんの鬼ころし」もこの蔵だと知ると、「へえ、そうだったんだ」と思ってしまう。残念ながらいずれも、飲んだり訪ねたことがなかった。

matsu_1.jpgmatsu_2.jpg その蔵の銘柄のなかに「表千家家元好み」の酒があるというので、いったいどんな味なのだろうかと興味がわいて、買ってみた。それがこの「松の翆」。箱にもラベルにも「而妙斎御銘」とあるから、現在の家元が名付け親らしい。

 買い求めた四合瓶は取扱店が少ないという。つや消しの青い瓶に赤い組紐で化粧されていて豪華だ。さっそく開けてみると、吟醸香が漂ってくる。
 しかし、それほどプンプンというほどではない。いつものコップに注ぐと、ほんの淡く黄味がかったお酒が透き通る。口に含むとすっとノドに落ちた。

 実は少し甘口ではないかと予想していた。お茶席での懐石料理に合うお酒だろうから、ようするに京料理と相性がよいのだろう。京都のお酒が全体的に甘口が多いのは、この京料理との関係だという話は聞いたことがあった。しかし、予想は覆された。
 率直な感想として「うん、これは旨い」と思った。ひとくちで言えば、とてもバランスがいい。つまり、甘口でもないし辛口でもない、かといってナチュラルでクセがないという感じでもない。それらの絶妙のバランスのなかにあるような感じなのだ。だからとても心地よいというか、さすがは家元というか、そんな印象だ。

 先日飲んだ「桃の滴」と比べてみると、日本酒度が+1高い。その分辛口だ。が、酸度やアミノ酸度はいずれも低いから、その分は甘口になる。それがこんなに違う味になるのか、というのがちょっとした驚きだった。もちろん米も精米歩合も、たぶん水も違うわけだから……、ようするにまるで違うわけか。
 ネットで見ているとこのお酒を「とても美味しいお酒」と紹介していた酒屋があったが、なるほどと納得した次第。

【データ】
純米大吟醸「松の翆(みどり)」
醸造元:株式会社山本本家
製造年月:2004年12月
原材料名:米・米麹
原料米:山田錦100%
精米歩合:40%
使用水:白菊水(中硬水)
アルコール分:15度以上16度未満
日本酒度:+5
酸度:1.3
アミノ酸度:1.0
杜氏:黒野美代治(越前糠)

(記/2005.2.1)

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