京のお酒エッセー

京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男

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大吟醸「英勲」金賞受賞酒(京都産米「祝」全量使用)

2008/07/04 (金) | 齊藤酒造(伏見・英勲)

eikin2_1s.jpg 「英勲」の齊藤酒造が全国新酒鑑評会で11年連続となる金賞を、今年は「祝」米を使ったお酒で受賞したいう。ここは「祝」を使ったお酒づくりの復活に最初から取り組んできた蔵だ。去年の蔵見学の折にも話題になって、控えめながらも挑戦したいという話も聞いていたから、なんだか感慨深い。その金賞受賞酒が発売になったと聞いて、「これは飲まねばなるまい」とさっそく買い求めてしまった。

eikin2_1.jpgeikin2_2.jpg やってきた瓶は去年と同じだった。ラベルに赤字で印刷された「京都産米『祝』全量使用」の文字が去年との違いを示しているくらいだ。
 栓を開けるとこぼれ出る吟醸香は淡い。色はほとんど無色透明。よくよく見るとごくごく淡いブラウンがかっているかな、と思えるのも去年の受賞酒と同じだ。
 口に含むと、やわらかくて軽い感じ。口当たり、唇付近で感じるのはやや甘い。吟醸香がそう感じさせるようだ。しかし喉ごしはけっこう辛く感じられた。
 もちろん旨いのは言うまでもない。しかし僕には「でも……」という思いが残った。

 これまでの金賞受賞酒は「山田錦」を使ったもので、いわば「一吟」タイプだったと思う。なので僕は、「祝」なら「井筒屋伊兵衛」タイプではないか、と勝手に予想していた。「井筒屋伊兵衛」は濃醇中口で、僕はそれが好きなのだ。
 ようするに、僕が期待した味とはちょっと違ったわけ。ひと言で言えば「一吟」を「祝」でつくったような印象だったのだ。

 実は開栓前、瓶をしげしげと見ていて、裏のラベルで「えっ?」と目が止まった。原材料に醸造アルコールが含まれていたのだ。勝手に純米と思っていたが、そうではなかった。これまでの金賞受賞酒は純米だったと思うので、これは大きな違いだ。
 たぶん淡麗ねらいだろう。「水のようなお酒」が好まれるらしい審査で受賞するための調整と推察できる。

 でも、僕はいつか、純米大吟醸「井筒屋伊兵衛」タイプの金賞受賞酒を味わってみたい、と思う。


【データ】
大吟醸「英勲」金賞受賞酒(京都産米「祝」全量使用)
醸造元:齊藤酒造株式会社
製造年月:2008年6月
原材料名:米・米麹・醸造アルコール
原料米:祝100%
精米歩合:35%
アルコール分:15度以上16度未満
日本酒度:+3
杜氏:森口隆夫(但馬杜氏)

(記/2008.7.4)

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