京のお酒エッセー

京都は伏見だけでも20を超える酒蔵がある酒どころ。そんな京都府内の地酒を飲みながら、リアルタイムで綴るお酒の話。
おおむね月1更新。飲み手・書き手=小国文男

<< 「都鶴」山田錦純米極辛 | トップ | 純米大吟醸生「無圧搾り」 >>

「鳳麟」純米大吟醸

2005/05/03 (火) | 月桂冠(伏見・月桂冠)

horin_1s.jpg 月桂冠といえば大手だ。伏見の大手筋近くにあって「大手蔵」なんてのもある。いや、そういう意味ではなくて、日本有数の酒造メーカーのひとつだ。
 大手は好かん。だから僕はこれまで、月桂冠をわざわざ買って飲むことはほとんどなかった。買ったといえば、大倉記念館で限定販売している吟醸酒「ザ・レトロ」くらいだ。

horin_1.jpghorin_2.jpg とはいえ、伏見の全蔵を飲もうと思ったら避けて通れない。どうせなら旨い酒をと思っていたら、油長さんで「『日本の酒』の看板は伊達じゃない。蔵元のレベルの高さを示す旨口大吟醸」と絶賛してあったので、つい食指が動いて買ってしまった。
 やってきたそのお酒「鳳麟」は化粧箱入りで、思った以上に豪華な装いだったのでビックリした。しかも、替栓用にとコルクがついている。普段はこんなのを使っているから不要だろうと思ったら、サイズが合わなかった。なのでさっそくコルク栓を利用しているが、これはこれでなかなかイキだと思う。

 栓を開けたところで、ほのかな吟醸香が鼻腔をくすぐる。コップに注ぐとほとんど無色透明だが、白い下地に透かしてみると、ほんの少しブロンズがかった感じがする。
 口に含む。喉に落とす。なんというか、サラリとした心地よさがある。コップに4杯目のいままで、アテなしで飲んでいる。
 改めて見てみると日本酒度は「+2」だ。データ的には甘口に近いが、アミノ酸度などの影響か、そんなに甘いとも感じない。いわば飲み頃といったところか。

 実は月桂冠は、2度ほど取材で訪ねたことがある。特に大倉記念館に隣接する「酒香房」で、昔ながらの酒づくりを行っているのは興味深い。
 酒蔵はどこでも、大なり小なり機械化が進んでいる。皮肉なことに、おそらくそれが最も進んだ大手の酒蔵で、ほとんど手作業による酒造りが再現されているのだ。それは余裕ゆえなのか、それとも危機感なのだろうか。
 ずいぶん前に話を聞いた記念館の館長さんの言葉も、まだ耳に残っている。
「化学的にはどんなお酒でもつくれます。しかし難しいのは、消費者のみなさんの嗜好にどう合わせるかです」
 なるほど……。

 機会があれば次は、これも記念館限定販売という、その「酒香房」のお酒を飲みたいと思う。

【データ】
「鳳麟」純米大吟醸
醸造元:月桂冠株式会社
製造年月:2005年4月
原材料名:米・米麹
精米歩合:50%
日本酒度:+2
酸度:1.4
アミノ酸度:1.5
アルコール分:16度

(記/2005.5.3)

- | -
蔵元(エリア・代表銘柄)
  • 思い出の酒 (1)
  • 東北の酒 (10)
  • 黄桜酒造(伏見・黄桜) (1)
  • 北川本家(伏見・富翁) (5)
  • 木下酒造(京丹後市・玉川) (3)
  • 京姫酒造(伏見・京姫) (1)
  • キンシ正宗(伏見・キンシ正宗) (3)
  • 月桂冠(伏見・月桂冠) (1)
  • 齊藤酒造(伏見・英勲) (8)
  • 佐々木酒造(京都市・聚楽第) (1)
  • 三宝酒造(伏見・金瓢) (1)
  • 招徳酒造(伏見・招徳) (5)
  • 玉乃光酒造(伏見・玉乃光) (4)
  • 鶴正酒造(伏見・鶴正宗) (1)
  • 豊澤本店(伏見・豊祝) (3)
  • ハクレイ酒造(宮津市・白嶺) (1)
  • 花清水(伏見・花清水) (1)
  • 羽田酒造(京都市・初日の出) (1)
  • 東山酒造(伏見・坤滴) (2)
  • 藤岡酒造(伏見・蒼空) (5)
  • 平和酒造(伏見・慶長) (1)
  • 増田徳兵衛商店(伏見・月の桂) (3)
  • 松井酒造(京都市・京千歳) (2)
  • 松本酒造(伏見・日出盛) (5)
  • 都鶴酒造(伏見・都鶴) (1)
  • 向島酒造(伏見・ふり袖) (1)
  • メイセイ酒造(伏見・名聲) (1)
  • 山本勘蔵商店(伏見・鷹取) (1)
  • 山本本家(伏見・神聖) (3)
最近の記事
  • 純米大吟醸生「無圧搾り」 (06/12)
  • 「鳳麟」純米大吟醸 (05/03)
  • 「都鶴」山田錦純米極辛 (04/15)
アーカイブ
  • 2012/10 (1)
  • 2012/08 (1)
  • 2012/03 (1)
  • 2011/09 (1)
  • 2011/08 (2)
  • 2011/07 (1)
  • 2011/06 (2)
  • 2011/05 (3)
  • 2011/04 (1)
  • 2010/11 (1)
  • 2010/09 (1)
  • 2010/08 (1)
  • 2010/06 (1)
  • 2010/03 (1)
  • 2010/02 (1)
  • 2009/05 (1)
  • 2009/04 (2)
  • 2009/02 (1)
  • 2008/12 (1)
  • 2008/09 (2)
  • 2008/07 (1)
  • 2008/01 (1)
  • 2007/12 (1)
  • 2007/09 (1)
  • 2007/06 (2)
  • 2007/04 (1)
  • 2007/02 (1)
  • 2007/01 (1)
  • 2006/12 (1)
  • 2006/11 (1)
  • 2006/10 (1)
  • 2006/09 (2)
  • 2006/08 (1)
  • 2006/07 (1)
  • 2006/06 (2)
  • 2006/05 (1)
  • 2006/04 (1)
  • 2006/03 (1)
  • 2006/02 (1)
  • 2006/01 (1)
  • 2005/12 (4)
  • 2005/11 (1)
  • 2005/10 (3)
  • 2005/08 (1)
  • 2005/06 (3)
  • 2005/05 (1)
  • 2005/04 (2)
  • 2005/03 (1)
  • 2005/02 (2)
  • 2005/01 (1)
  • 2004/11 (2)
  • 2004/10 (2)
  • 2004/05 (1)
  • 2004/03 (2)
  • 2004/02 (1)
リンク
  • えでぃっとはうす
  • プロフィール
  • 京のお酒エッセー(vol.1~47)
  • 吟醸酒房 油長
RSS1.0
Atom0.3
Powered by Serene Bach 2.24R

Access: 4535


▲page top

Copyright (C) Fumio OGUNI 1996-2025. All Rights Reserved.